社会貢献活動報告書2022
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本学に長く務めることになり、社会貢献活動には比較的古くから関わっている。当初は、社会貢献活動を大学の授業として行うことには違和感もあったが、学生の活動を見ていて応援しようという気持ちに変化した。学内で授業を受けている時とは違う面を見せて積極的に活動に関わっている学生が多いことに気づいた。また、実習先で頼りにされ、自信をつけていく学生も多く目にしてきた。学外での社会体験にはアルバイトとかインターンシップといったものもあるが、そのような報酬や就職につながる活動とは違い、自発的に何か社会に貢献する活動はより強い主体性を必要とする。また、社会に貢献する活動は世の中の役に立つように、自然科学を応用する工学の学びと通底していると感じた。 本学では、2008年度から3年間にわたり、質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)1)「社会と工学をつなぐ技術活用力の育成」副題:あの人を笑顔にできるテクノロジーが展開された。このプログラムでは、社会の中で工学技術が活かされる技術活用力を育成するため、体験を通じて地域社会に貢献しながら学んでいくサービスラーニングと呼ばれる手法を工学教育に取り入れ、工学的問題発見力、技術活用力、コミュニケーション能力、新しい工学課題への対応、技術者倫理、の伸長を図った。取り組みの概要を図1に示す。 最後にこれまでに社会貢献活動に関わった方々の名前を記して感謝したい。この中には、退職された方、職場を移られた方、鬼籍に入られた方が含まれる。 教育GPに携わった方々は、水谷光、大野英隆、二見尚之、市山雅美、本多博彦、石村光敏、中野秀夫、木村広幸、佐藤博之、大木真琴、和田精二、岡崎秀晃、伊藤康之、東宏乃、野本ちさと、飛田和子、舩後靖彦、小館貴幸、村山拓、大塚昭雄、竹花功夫、橋本いずみの各氏である。これ以前、この活動につながる社会貢献活動に関する教育活動を開始された方々は、田坂さつき、藤津悟、勝尾正秀、手塚明美、水澤弘子の各氏である。4) 取り組みの中での教育効果を関連の学会で発表し,2)また、成果報告会を行い、報告書を発行した。3)地域社会と協同、連携することで、工業技術が福祉や環境といった比較的新しい課題に取り組んで、新たな価値を創造することが可能であると示せたと考えている。人的また資金的に十分な支援を受け、学生が工学は社会に貢献することができ、自分は工学者として必要とされる存在であるという自信を持つ体験ができたことは本当にありがたかった。あの人を笑顔にできる34 当時の活動風景:高齢者PC講座(上)引地川の環境保護(下) 形を変えながら、現在も実習生に活動が引き継がれている 社会貢献活動20年を振りかえって 図1 教育GPの取り組みの概要 1) https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/gp/program/08033118.htm 2) Maiwa Hiroshi, Mizutani Hikaru, Ono Hidetaka, Ichiyama Masami,etc. “Engineering education in community service”, Proc. Joint International IGIP-SEFI Annual Conference2010 3) 「社会と工学をつなぐ技術活用力の育成」あの人を笑顔にできるテクノロジー 2008-2010年度成果報告書、湘南工科大学教育GP事務局、2011年 4) 田坂さつき編著、「福祉ものづくり物語」ひみつの出版、2022年 テクノロジー、ということで取り組みを進めたが、実際には学生も笑顔でモノづくりやそのほかの活動を経験したのであった。採択されたことには感謝している。 社会貢献活動連絡協議会 委員 人間環境学科 教授 眞岩 宏司 20周年特集教育GP:あの人を笑顔にするテクノロジー

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