社会貢献活動報告書2022
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1)今年度実習未修了の団体は除く。 2)『哲学する民主主義』ロバート・パットナム/NTT出版 ④ 実習団体と実習生の関係 ① 実習生の姿勢や態度の変化 ② 実習受け入れによる本学の印象の変化 ③ 実習を受け入れる面白味やメリットなど 37 地域の活動は継続し、実習生は入れ替わる。学生と実習団体との関係はどうあるべきか。現在協働する11の実習団体1)を対象とした、これまでの実習受入れの振り返りと今後の展望を尋ねたアンケート結果をもとに考える。 活動期間が最も長い実習は「高齢者PCサポート」(2002-)、次に「車いすテニス大会サポート」(2003-)である。今年度新たに開始した団体もあり、回答団体の平均活動期間は約11年である。以下に質問項目毎の回答の抜粋と考察を記す。なお、全ての団体より回答があり、質問項目④の選択式以外は記述式である。 「以前は連絡がつかなくなりフェードアウトする学生もいたが最近は減少した」「欠席連絡がきちんとされる」「まじめな学生が増えた」等、近年の学生は最低限の社会人ルールを身につけている傾向にある。一方、学生間のコミュニケーションや積極性の不足、「会話のキャッチボールが成立しない」等が指摘され、以前のほうが“やんちゃ”な学生が目立つ分、団体との距離感が近かった様子が伺える。「前も今も変わらず礼儀正しく一生懸命」「以前のほうがよかった」等の回答もあり、学生の多様性を示してもいる。 「湘南工科大学を身近に感じることができ、大学で社会貢献活動に取り組んでいることに関係各位からも称賛の声が上がっている。(中略)実習生の礼儀も正しく自信を持って他団体にも紹介している」等のコメントがあり、地域における身近な大学としての信頼構築に本活動が、一定程度寄与していることも確認された。 社会貢献活動支援室 特任講師 森田 恵 青少年育成や産官学連携など受入れが本来業務の一部である団体もあるが、それ以外は「フットワークの軽さ、体力、若さ」「学生はいるだけでも価値がある」等、大学生という存在自体を肯定的に捉える団体が多い。大学生なりのアイデアや知識に加えて「工科大学生としてITを取り入れた関わり」等、専門性を生かした活動への期待も複数寄せられた。こうしたニーズにどう応えていくか。支援室の限られたリソースの中で、互恵的で継続可能なプログラム作成や、サポート等を工夫しつつ、各学科、研究室との連携が必要不可欠になっている。 活動団体にとって現在の実習生の位置づけは、左下図の通り、B,Aの活動の活性化及び活動維持の役割が最も多い。これは労力提供型の取引関係ともみえるが、実は「互酬」的でもある。例えば、「もともとは若い人から元気がもらえる存在であったが、今では(実習生が)会にとって必要な存在」との設問③の回答にあったように、実習生は初めから活躍できるわけではなく段階を踏んで、協働へと関係変化を遂げる。またF「ネットワーク形成」やG「個人間の信頼構築」にも期待が寄せられている。これらと「互酬性」を含めた3要素は、社会関係資本2)といわれ、様々な変化に対応可能な市民社会の礎になる。 今後の望ましい関係(下表右)としては、創発的(一緒に地域で新たな何かを生み出す)関係への期待が顕著であった。活動団体は、授業の受入れに留まらず、大学/大学生が地域社会の一員として協働共創しあう姿を目指している。 学生の交代や活動環境等により団体との関係は様々に変化するが、現場に生まれる小さな協創の可能性の芽を大事にしていきたい。 20周年特集実習団体と学生とのありたい関係とは

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