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森井研究室 研究紹介


森井研究室では、スポーツ用具や航空機、自動車等に用いられる『繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics; FRP』に関する研究を行っています。
プラスチックは金属などに比べてとても軽い材料ですが、強度などの点で劣っています。そのため、カーボンやグラファイト、ガラスといった高性能繊維でプラスチックを補強し、軽さと強さを両立した材料がFRPです。金属などに代えてFRPを用いることで、様々な製品を大幅に軽量化することができます。また、使用する繊維の選択、繊維を並べる方向、繊維の長さや、プラスチックの種類により、所望の性質を有する材料を作ることができます。最適化された性質と軽量性を生かし、今後幅広い分野で用途の拡大が期待されています。

【FRPの主な用途例】
<スポーツ用具>
テニス・バドミントンのラケット、ゴルフクラブのシャフト、棒高跳びのポール、スキー、スノーボードの板、ボブスレー・リュージュのそり etc.
<航空機>
翼、胴体、キャビンフロア etc.
<自動車>
レーシングカーのボディ・シャーシ・サスペンション等、高級スポーツカーのボディ、乗用車のフレーム etc.
<船舶>
クルーザー、ヨット、プレジャーボート、小型漁船 etc.
<住設機器>
浴槽、ユニットバス、浄化槽 etc.

主な研究テーマ

研究テーマ 「簡易型RTM法によるFRPの成形」

FRPの成形法には様々なものがあります。その中でRTM(Resin Transfer Molding)法は、真空ポンプを用いて樹脂を流し込むと同時に、強化材である繊維に樹脂を浸み込ませる成形法です。森井研究室では、高価な市販の成形装置ではなく、真空ポンプ等の安価な機器を組み合わせることで低コストでFRPを成形することに取り組んでいます。

RTM法では、低コストで高品質なFRP成形品が得られるだけでなく、凹凸のある成形品や発泡体やハニカムを芯材としたサンドイッチ構造のFRP製品の成形が可能です。この成形法を応用し、卒研生のアイデアで様々なFRP成形品づくりに取り組んでいきます。

研究テーマ 「プリプレグを用いたFRP成形」

FRPを成形する際に用いられる中間材料に「プリプレグ」というものがあります。これはあらかじめカーボンなどの強化繊維と樹脂(プラスチック)を組み合わせて作られるシートで、樹脂は硬化していないため柔軟です。これを成形したい型に配置し、加熱・加圧することでFRP成形品が得られます。

このプリプレグを用いて、森井研究室では卒業研究で弓道用のカーボン製矢の成形、シーカヤック用のオールの成形などに取り組みました。実際に自分達で成形したものを使って、その特性の評価も行っています。
研究テーマ 「アコースティック・エミッション(AE)によるFRPの破壊進展挙動の評価」

FRPはカーボンなどの繊維と樹脂(プラスチック)を複合化した材料であるため、金属などの単一材料に比べて力を受けて破壊するプロセスがとても複雑です。その破壊を数値化して評価できる装置がアコースティック・エミッション(AE)です。材料が壊れるときには、必ず音が発生します。この音は人が聞き取れるものとそうでないものがあります。AEではセンサーを測定対象に貼り付け、これを計測装置に接続することで、発声した破壊音を数値化して計測することができます。

FRPは使う繊維やプラスチックにより破壊の仕方が変化します。そのような破壊を、AEを用いることで詳細に分析することができます。

FRPの引張試験時のAE計測

引張試験中の破壊進展を示すAE計測結果