北洞 貴也 教授
所属 | 湘南工科大学 工学部 機械工学科 湘南工科大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 |
学部研究テーマ | 農業用水路に適したゴミ詰まりに強い低落差クロスフロー水車の設計法開発 負圧吸着による壁面移動ロボットの摩擦低減機構の開発 画像変形式PIV法の高速処理・高精度化に関する研究 らせん水車の水力性能予測法に関する研究 |
大学院研究テーマ | 水車の最適設計法の開発 クロスフロー水車の高落差への適用範囲拡大に関する研究 |
研究キーワード
研究概要
流体機械の水力性能向上に関する研究として、数値流体解析と応答曲面法を組み合わせて、高効率が得られる流路形状を短時間に求められる最適設計手法を開発しています。具体的には中小水力発電に多く使われているクロスフロー水車について、従来の適用範囲より高落差でも高効率を示す形状探索を行っています。この際の制約条件はキャビテーションを起こさないことである。右上の図はクロスフロー水車のランナ室を低圧にしてキャビテーションが発生している羽根車周りの様子であり、羽根車内に周囲が気泡により白くなった水蒸気領域が存在しています。右下図はこの実験と同条件で解析をして得られた液相割合図ですが、青色で示されている水蒸気領域は、上の実験結果を良く再現しているのが分かります。落差やランナ室内圧力、ランナ回転数などを変えたこの解析から得られる効率は、実験結果とよく一致していることが確認され、各部に生じるキャビテーションの効率への影響などが明らかにされました。これらの知見を基に最適設計を進める予定です。
日本国内の農業用水路を流れる水量は膨大であり、その多くの地点に流れの勢いを抑えるための段差である落差工が設けられています。水はこの段差を滝のように流れ落ち、その位置エネルギーが失われていますが、水車を設けることでそのエネルギーを電力に変換し、有効活用することが出来ます。農業用水路で行われるようなマイクロ水力発電では、水路を流れる木の枝や空き缶などのゴミが水車の羽根に詰まることが大きな問題となっています。本研究では、除塵装置のような高額な設備を使わなくても水車自身の形状を工夫することでゴミ詰まりを起こしにくい水車の開発を行っています。右図は通常羽根車の上流に設ける導水管およびノズルを省略することで、ゴミが羽根車に流れ込みにくくした水車です。また羽根車の幅を水路の幅に合わせれば、多くの水が利用出来るようになります。左の図は流れ解析による水の流れの様子を表し、右の図は実験により同じ条件で運転した結果です。両者はほぼ一致しており、解析から予想される性能も、実験結果と一致することが確認されました。これにより流れ解析によって水車形状を変えながら、ゴミが詰まりにくく性能の良い水車形状を見つけ出すことが出来ます。