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藤嶋 竜聖さん


※内容は2024年11月取材時
公立中学校 技術科 教諭(座間市)
藤嶋 竜聖さん
工学部 電気電子工学科 2021年3月卒業
神奈川県立上溝南高等学校 出身

 教員を目指した理由
私が教員を目指したのは、大学に入学してからです。教職課程を履修し始めたのも、1年次の後期からと少し遅いスタートでした。そのため、前期分の教職課程の単位を取るために、時間割をかなり詰め込んだ時期もありました。
大学入学当初は、興味のある電気分野を深く学びたいという思いだけでしたが、バスケットボール部の友人や、共通の趣味を持つ人たちの中に教員を目指している人が多くいて、彼らと話すうちに、次第に私もその道に興味を持つようになりました。正直に言うと、最初は教職に対して特別な熱意があったわけではありません。しかし、教職課程での講義や実習を通して、次第に「教育」の持つ深い意味や、そのやりがいに気づいていきました。同時に、子どもたちが新しいことを理解し、成長していく様子を見ること、自分がその一部となれる喜びがあることを知り、教員としての道を真剣に目指すようになりました。この気づきこそが、私の教員への志を強くした理由です。
また、当時、私にはちょうど中学生の弟がいました。彼との日々の交流を通して、思春期の子どもとの関わり方の難しさや、理解し合うためのコミュニケーションの大切さを実感しました。弟の成長を見守る中で、子どもたちが抱える悩みや学びに対する姿勢に触れ、教育の重要性を一層深く感じるようになったのです。
 大学での日々
高校時代は「数学」や「理科」、モノづくりが好きだったので、大学は理系分野に進みたいと考えていました。電気電子工学科を選択したのは、祖父が電気関係の仕事をしていたこともあり、将来の仕事をイメージしやすく、自分に向いている分野という気がしたからです。高校は普通科だったので電気の基礎知識はありませんでしたが、チャレンジしてみようと思いました。
電気電子工学科の授業は、計算が多かった印象があります。入学前は、ハンダづけやモノを作ったりすることが多いイメージだったので、意外と数学のボリュームが大きいことにギャップを感じました。
「電気設計及び製図」の授業は、もともと絵を描くのが好きだったこともありますが、手書きできれいに回路図を書くのが楽しかったです。アナログで構造を理解する、というのは、今「木工」の図面を書く授業でも生かされていると感じます。
回路制作でのハンダづけも、とても楽しかったです。ハンダづけを学ぶ機会なんて、工科系の大学以外はそうないと思います。中学校の授業でハンダづけを行う際は、生徒にやり方を説明してから、まず作業を進めてもらい、分からないことが出てきた時に様子を見てコツなどを伝えるようにしています。実技は感覚的なところが大きいので、自分が学んだ時の経験を生かして、うまく伝えられるように努めています。
以前はラジオ作製の授業でハンダづけがありましたが、半導体が不足していて、ラジオ教材は高額になってしまいました。少し安価なライトのような教材に切り替えて、ハンダづけを体験したり、自分たちが使っている機器の内部の仕組みを学べるように授業を工夫しています。モノづくりの楽しさを伝えながら、自分が習ったことを少しでも生徒に残せたらと模索しています。

大学在学時には、中学校から続けてきたバスケットボールを続けたいという思いから、自らバスケットボール同好会を立ち上げました。最初は3人だけの小さな同好会でしたが、主将として立ち上げから、練習日程の管理、連絡調整など多くの責任を担う中で、リーダーとしての難しさと責任感を学びました。この時の経験は、部活動指導や学級経営を行う上で、リーダー的な役割を担う生徒に対して、同じ目線に立って成長を支援することに大いに役立っています。大学での学びと経験は、教員としての私を支える大切な基盤となっています。
 教員という仕事の大変さ、やりがいを感じる部分
教員としてのやりがいの一つは、生徒の成長を間近で見ることができる点です。日々の授業を通じて、生徒たちが新しいことを理解し、学びを重ねる姿を見ることは、何事にも代えがたい喜びです。また、学校行事を通して、クラス全体や個々の生徒が協力し合い、達成感を味わう瞬間に立ち会えることも、教員としてのやりがいの一つです。
さらに、部活動指導を通してスポーツの楽しさを共有し、生徒たちと一緒に目標に向かって努力できることも大きな魅力です。土・日を含む指導は時に負担になることもありますが、それを超える達成感と充実感を得ることができます。
一方で、大変なこともあります。特に、生徒一人ひとりは異なる背景や状況を抱えているため、その個々に応じた指導や支援には、常に試行錯誤が求められます。授業や指導が思うように進まず、計画通りにいかない場面もあり、そのたびに柔軟な対応力が必要です。また、仕事量も非常に多く、授業やその準備に加えて、部活動指導やその他の校務分掌(学校運営のために割り振られた行事などの担当業務)もこなさなければなりません。
それでも、生徒たちの笑顔や成長、感謝の言葉に支えられ、教員という仕事の魅力を実感する日々です。この仕事は大変な分、達成感ややりがいも大きい職業だと感じています。
教員になって最初の年に、1年生を担任しました。その学年を3年生まで受け持って送り出した後、今再び1年生の担任をしています。同じ1年生でも、前回受け持った年度の生徒たちとは、特性も関わり方も全然違います。副担任の先生もいますが、複数クラスを掛け持つことが多いので、担任として1年目は試行錯誤しました。今は、以前より見通しを立てられるようになり、自分の成長も感じています。
「技術科」は、すべての学年が履修するので、学年ごとの特性をつかみやすく、自分の担当学年に生かせるところもあります。また、それぞれの学区によってコミュニティの特徴も学校のルールなども異なります。俯瞰的にフラットに関わらせてもらっているからこそ、学年や一人ひとりの特性の違いに、どのように対応すればよいか、考えやすいところはあるかもしれません。
バスケットボール部の顧問は楽しいです。中学から大学まで、自分がバスケをするのが好きで続けてきましたが、最近、生徒に合った戦術や練習を考えたり、教えることの楽しさを見出せてきたように思います。
 教育 × テクノロジー
現在、中学校では生徒1人に1台の端末が配備されています。勤務校では、文部科学省の「COCOLOプラン」の一環として、端末を使って朝学活で健康状態や不安なことはないかなどをフォームに入力してもらい、保健室の先生も含めて全教員で共有し、チーム支援につなげる取り組みを行っています。
端末は、全教員にも配備されていて、学年ごとのページやカレンダーなどを活用してさまざまな情報や連絡事項を共有できるようになっています。イレギュラーな事態に備えた連絡も一括でできますし、職員会議の時間の短縮や紙の資料がたくさんあって大変、という状況も改善されてきています。職員の「週案」(教育課程に基づいて作成する、担当学級や教科などの指導計画カレンダー)も、2025年度からデジタル化されることが決まっています。
校務の面でもそうですが、授業でも、単元ごとの小テストをフォームで行ったり、Classroomの機能で資料を配布したりしています。もちろん手書きでなければならないことや、個別に対応すべき部分などは別ですが、回答の回収や採点、集計も早く、教員と生徒双方にメリットがあり、ICTを活用してできるところは効率化が進んでいます。
教員として日々の生活の中で感じることは、学習効果を最大限に引き出すためにテクノロジーを適切な場面で活用することの重要性です。特に学級経営においては、古き良き経営方法や人との関わりの大切さを忘れずに守りつつ、新しいテクノロジーを積極的に取り入れて、よりよい環境づくりを目指したいと考えています。そのためにも、これからも学び続ける姿勢を大切にしていきたいと思います。
 これから教員を目指す人へ
まず、教員という仕事は、確かに大変で責任の重い職業です。多様化した社会の中で求められる教育のあり方は変わり続けており、教員には常に新しい考え方や柔軟な対応力が求められます。しかし、だからこそ、この仕事にはやりがいがあり、生徒たちの成長に立ち会い、彼らの未来に関わることができるのは、とても誇り高いことです。私も教員として働く中で、学生時代には考えもしなかった多くのことを実感しています。教員になって初めて、当時の先生方がどれだけ努力し、生徒たちのために心を砕いていたかを知ることができました。その姿勢は、今でも私の目標であり、教員としての誇りです。
皆さんには、今の学生時代を大切にし、多くの経験を積んでほしいと願っています。部活動、友人との交流、さまざまな挑戦は、将来教育に生かされる貴重な財産となります。教員としての道を歩む際、それらの経験が必ず役に立ち、生徒たちの成長を支える力となるでしょう。

教員という仕事は、人の人生に触れ、導く特別な仕事です。大変さの中にも、喜びと達成感があり、生徒から学ぶことも多く、自分自身も共に成長していける素敵な職業です。多くの経験を積み重ね、自分を信じて、その先にある「教員」という道に挑戦してほしいと思います。
皆さんがこの道に前向きに進み、将来の教育を担う一員となることを、心から応援しています。
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