[研究テーマ]感性情報に対する心理学的アプローチ(色・香り・音楽)
言葉+αを表現するツールとして「色」に着目
例えば絵画を鑑賞した時、「楽しい雰囲気」「暗くて心が沈む」「明るくて心が洗われる」といったように、人はさまざまな自身が抱いた感情や感想を、自分以外の他者に伝えるために、あるいは自分自身の思いを整理するために言葉で表現します。しかし、いくら言葉を尽くしても、鑑賞した人の感じた思いを他者に100%伝えることは困難です。言葉+αで表現を広げ、より多くの情報や思いを相手に伝えるにはどうしたらいいか。そこで私は一つのツールとして「色」に着目しました。人が心の中に抱く抽象的なことを、色を使っていかにアウトプットするかというのが研究テーマの中心です。
言葉では伝えにくい「香り」のイメージを色で視覚的に表現
皆さんは「バニラの香り」をかいで、どのようなイメージを持ちますか。「甘い」という言葉のほか、色では「白とクリーム色の中間」が思い浮かぶのではないでしょうか。では、「ヒノキの香り」「ユズの香り」は? イメージはさまざまで、目に見えない香りを人に伝えるのは難しいものです。本研究室では「色」をツールとして、香りのイメージをアウトプットする手法を研究しています。被験者に香りについてアンケートを行う、アプリを使って香りから連想する色を選んでもらうといった心理学的手法を用いてデータを収集、嗅覚と視覚の関係性などについて分析します。この分析結果を、色を効果的に使った香水の広告、ネット通販などに応用できるかもしれません。
「香りと音楽」の関係も研究テーマ
研究室の取り組みは、「香りと色」の関係だけにはとどまりません。「音楽」も対象です。例えば、知らない音楽が100曲あったとして、そこから自分が聴きたい曲をピックアップするとします。「激しい」「ロック調」などのキーワードだけでなく、色による情報を追加することでもっと選曲が容易になるシステムが作れるのではという発想から、「音楽と色」の関係性についても研究しています。感性やコミュニケーションにもアプローチしていくので、広告や広報といった分野で活躍できる素養が身につくでしょう。クリエーティブな発想を生かしたシステムの構築に挑戦したい人は、今後も本研究室の取り組みにご注目ください。