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情報学部情報学科
リアル×バーチャル
現実世界と仮想世界をつなぐ研究
リアルとバーチャルをシームレスに繋ぐ
XR=クロス・リアリティとは、VR=仮想現実、AR=拡張現実、MR=複合現実など、現実世界にさまざまなバーチャル空間を融合する情報技術の総称です。
かつてはSFの世界でしかあり得なかった3次元のバーチャル世界“メタバース”は、現在、急速に私たちの生活に浸透しつつあります。イベントを開催して人を集めたり、お店を開いて商品を売ったり、現実世界とは別人格のアバターになって生きる人々も現れています。失われた歴史的文化遺産をCGで復元し公開する取り組みも行われています。さらにリアル世界のメンバーとバーチャル空間のアバターが一緒に活動を行うアイドルグループもいます。
アバターの動きにはモーションキャプチャー技術が使用されています。リアルとバーチャル、2つの世界を連携させるには大掛かりなデバイスが必要となり、リアル世界で行動する人々の動きが反映されます。これらがもっと気軽に使えるデバイスを用いて、さらに簡単にリアルとバーチャルの“動き”が連携できたらどうでしょう。そうなれば手足の不自由な方がバーチャル世界で自由に動いたり走れたりする“誰もが平等でいられる世界”が実現できるのではないでしょうか。
リアルとバーチャルをよりシームレスに繋ぐための情報技術の可能性について、情報学部 情報学科では研究開発を進めています。
XR研究でSociety 5.0を推進
情報学部には、3DCGゲームやプロジェクションマッピングなどのコンテンツ制作に使用されるMac Proを備えたCG教室、プログラム開発や画像・動画編集用にmacOSとWindowsのマルチブートシステムを導入したPC室、AI研究開発センターのオープンラボであるAI R&Dセンターなど、充実したICT環境が整備されています。また、XRの授業や研究には、VRやARなど多様なリアル体験を再現する技術開発に必要な機材やモーションキャプチャーなどのシステムを完備したXRメディア研究センターが活用されています。
情報学部 情報学科の学生が制作した“VRサッカー”は、ヘッドセットとコントローラーを装着し、バーチャル空間で飛んでくるサッカーボールを手で弾き返すVRゲームです。プレイヤーの両手首に装着したコントローラーを使って、プレイヤーの手の動きをそのままバーチャル空間の“手”に反映しています。そのため、プレイヤーの意識はバーチャル空間でゲームをしていますが、プレイヤーは自分の手を動かしてボールを弾くことができます。
別の学生が制作した“MRピアノ”は、床に映し出された色の付いた鍵盤を順番に踏んでいくことで音楽を奏でるゲームです。プレイヤーはデバイスを装着せず、センサーが人の動きを読み取りコンピューターがピアノの音に変換します。現実空間に意識も体もある状態で、あるはずのない鍵盤が現れて、触れると音が出るというMR作品です。
ARやMRでは、人は完全に現実空間にいますが、VRは、VRゴーグルやヘッドセットなどを装着し、バーチャル仮想空間に入って自分の動きそのものが反映される完全なバーチャルワールドです。加速度センサーやジャイロセンサーが入ったデバイスをバーチャル空間のキャラクターに与え、リアル世界で走ったり手を振ったりすると、バーチャルの中のキャラクターにそのまま動きが伝わります。リアルとバーチャルどちらからでも干渉・制御できるといった相互連携が可能になれば、もっとVRは自由になるはずです。
自分で考え自分で行動できる人間に
これまで情報を伝えるメディアは、“手紙やメールといったテキスト”、“電話などの音声”、“テレビや映画などの映像”に終始していましたが、VRの登場によって、そこに体験や行動といった“動き”がプラスされました。体感や体性感覚に触れる新しい技術革命です。動きだけではなく、心や表情を伝える“感情”というメディアも存在しますが、それはもう少し未来の研究領域かもしれません。VRには、対面で会話するときのようなコミュニケーションが実現できる可能性があります。その時に生じる違和感をどのように解消すればよいかがテーマになるはずです。
情報学科は、AI・データサイエンス、IoT、VR・AR・ゲームなどICTの主要な10分野すべてを、課題解決型実習で体験する必修科目「情報学実習」を1年次に用意しています。課題があり答えがないものをどうやって解決していったらよいか考えていく。VRやARの制作を通し、課題解決に向けて試行錯誤する経験は、将来さまざまな分野で役立つでしょう。
仕事で分からないことがあったとき、人に相談するかもしれないし、人と議論するかもしれない。インターネットで調べたり本を読んだりと、その時々に自分自身の力で解決していくプロセスがとても重要で、解決できたときの達成感は自信に繋がります。自信が持てれば、他分野であっても与えられた仕事に対して、自分で解決し行動できる人になれるはずです。
X-Tech LaboratoryLaboratory
【 未来を創造する研究室がここにある 】堀越 力 教授
大学は、理工学部電気工学科卒業です。当時はCGに興味があり、カメラの画像から得られる数値データだけで動きが解析できるというのが面白いなと思い、メディカルエンジニアリング(医用工学)分野の研究室で画像処理を学びました。
卒業後に勤めていた研究所では、画像処理とCG合成の2つを絡めて、3D表示(3Dのモデリング)の研究をしていました。2次元のディスプレイで3D(立体)表示ができることに興味があり研究をしていましたが、“物”がかなりリアルに見えるところまでいっているけど、その表示された“物”しか立体に見えていないということに違和感がありました。ところが、VRと出会った瞬間、見えている空間すべてが立体に見えるわけじゃないですか。そこからVRの研究に急旋回したわけです。
社会で生きていくためには、自分の手に“技術”を持つことはすごく重要です。理工系って、自分の得意な技術を手に持てる分野ですよね。技術があれば、いろいろな分野でその技術を生かせる。高校時代には、まだ何がやりたいか分からなかったとしても、大学で探せばいいのです。技術を知って、使える人になってほしいと思います。モノづくりって楽しいし、自分で組み立てていく過程って楽しい。今だとマインクラフトの中で何かを組み立てるのでもいいし、モノをつくる楽しさを一度は味わってほしい。モノづくりに興味を持てたなら、きっと理工系に行くべきなのだと思いますよ。
専門・研究分野
メディア情報システム、ユーザインタフェース
研究テーマ
現実空間とバーチャル空間をつなぐインタフェース技術に関する研究
研究キーワード
バーチャルリアリティ、ヒューマンインタフェース、3次元表示、画像情報処理