湘南から未来へ

湘南工科大学スペシャルサイト

工学部 人間環境学科工学部 人間環境学科

工学部人間環境学科

Materials and Human Environmental Sciences

スポーツ科学 × バイオメカニクス

スポーツ動作の「なぜ?」を
解明する研究

スポーツ動作を数値で“見える化”

「スポーツバイオメカニクス」は、「スポーツ科学」の基礎領域の一つで、スポーツにおける人やモノのさまざまな動作やふるまいのメカニズムを力学の観点から解明するものです。具体的には、スポーツ中のヒトやモノの動きやふるまいを数値やデータで可視化し、身体がどんな力を発揮して、どのように動いているかを客観的に解析・評価します。
例えば、走るのが速い長距離選手がパフォーマンスを発揮する時、身体の各部位がどのような角度・動きをしているのか、ボールをオーバーハンドで投げた場合とサイドハンドスローで投げた場合とで数値的に何が違うのか、また、スポーツパフォーマンスのレベルが高い選手とそうでない選手では身体のどこの使い方が数値的に違うのか――。見た目では何となく違いが分かっているけれど説明できないスポーツ動作の「なぜ?」を解いていきます。

スポーツパフォーマンス向上に貢献

工学部 人間環境学科では、各種スポーツを対象として、「スポーツバイオメカニクス」の視点からスポーツ動作の研究を行っています。ビデオカメラで撮影したスポーツ動作を映像解析の技術で数値化し、解析・評価します。ある学生は、サイクルトレーナー(ローラー台に固定された自転車)を漕いで車輪の回転スピードを測定。この時、脚だけに注目して、回転スピードが速い人はどの関節の角速度(1秒間に進む角度)が速いのかについて解析しました。別の学生は、ローイングマシン(ボート漕ぎマシン)を使用してタイムが速い人の下半身の動きを解析。また、バッティングの構え方を変えると打球の速度影響をどう受けるのかを解析した学生もいました。

幅広く蓄積された数値やデータを基に、統計処理などと組み合わせて外挿(データ範囲の外側で予測される数値を求める手法)を行うと、例えば、ボールをより遠くに飛ばせる人と飛ばせない人や、足が速い人と速くない人の違いを数値で予測することができます。より良いスポーツパフォーマンスを発揮するにはどのような動作が必要かを探るのが、「スポーツバイオメカニクス」の役割の一つでもあります。追究していくことでスポーツパフォーマンスの向上に貢献できます。
さらに、より適切なコーチングにもつながります。スポーツをする、または教える、観戦するといった時に、「もっとこうしたらパフォーマンスが良くなる」と思うことについて裏付けを示しながら合理的に説明ができ、スポーツを科学の視点からサポートすることができます。これを生かせば、例えば学校現場で「もう1本走ってこい!」という非合理的な指導ではなく、生理学的・心理学的・科学的根拠に基づいた指導が叶います。スポーツをする側も指導する側も、楽しく安全に、より高みを目指してスポーツに取り組めるようになるはずです。

物事を深く掘り下げ調べる力が養われる

こうした研究を通じて、物事を深く掘り下げて調べる力が養われます。スポーツ好きな人はもちろんですが、自分がスポーツをする時に「もっとパフォーマンスを良くしたい」と思う人や、スポーツの試合を観ている時に「なぜこの選手は上手いんだろう?」「なぜこの動きをしたほうがいいんだろう?」と興味がわく人は、この研究に向いていると思います。
「なぜ?」を原動力に、一緒に探究していきましょう!

スポーツ工学分野の学びでは、この他に身体能力やパフォーマンスの測定を行い、人間の特性を正しく評価し身体に最適なスポーツ用具の実現を目指す授業もあります。材料工学の知識・技術を応用し、人体各部位の動きに適した素材を活用したスポーツ用具の設計を通じて、リアルなモノづくりを体験できます。

X-Tech LaboratoryLaboratory

【 未来を創造する研究室がここにある 】

工学部 人間環境学科

加藤 忠彦 准教授

陸上競技を始めたのは中学生の時です。「投てき種目」を専門にしていました。
思えば、お正月のテレビ番組で、陸上選手が跳び箱や力自慢など、本来の専門種目とは別のフィールドで活躍する姿を見て「すごいな」と思ったのが、陸上に興味を持つきっかけだったかもしれません。
一方で、根っからの理系気質だったようで、数学のように答えがクリアにでて、記録が伸びていくのがはっきり分かるのもスポーツの面白いところだと思っていました。実はもともとあまり運動が得意ではなかったのですが、そんな「苦手なもの」の記録が伸びていくのもうれしくて体育大学へ進学しました。

大学入学後、スポーツトレーナーを目指すつもりでしたが、縁があって陸上競技部に入り、陸上競技を続けることになり4年間、学部の学びと並行して砲丸投に打ち込んでいました。もっと専門性を高めたいと考えるようになり大学院へ進学し、修士論文のテーマに砲丸投を選択。その研究が楽しくなってのめり込み、博士課程まで進みました。その後、スポーツ動作の「なぜ?」をさらに探究したいという思いから、大学の教員になりました。ちなみに、中学・高校の「体育」の教員免許も持っています!

担当している後期の科目「スポーツ用具作成」は、既にあるスポーツ用具を加工したり改良したりした時に、どのような変化があるのかを数値的に検証し、考察を行います。繊維強化プラスチック(FRP)で羽子板を作る学生や、FRPでインソールの厚みを変えて記録にどう効果があるのかを検証した学生もいます。

私が専門とする「スポーツバイオメカニクス」や「スポーツ工学」は、「このスポーツ動作はどうなっているんだろう?」「こうしたら記録が伸びるんじゃないか」と考える人にとって、楽しい研究分野だと思います。

専門・研究分野

スポーツバイオメカニクス、スポーツ工学

研究テーマ

投てき運動のバイオメカニクス

研究キーワード

マリンスポーツ工学 工業基礎力学 海洋環境科学

3 すべての人に健康と福祉を12 つくる責任つかう責任