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モノづくりに終わりはないだから“考えること”を止めないモノづくりに終わりはないだから“考えること”を止めない

モノづくりに終わりはないだから“考えること”を止めない

工学部 機械工学科4年
東京都立目黒高等学校出身
進学先:湘南工科大学
大学院工学研究科 博士前期課程
機械工学専攻
笠原 夏花

エンジニアの父と
映画のヒーローに憧れて

父がエンジニアであることもあり、私にとって“機械”は常に身近な存在でした。幼い頃は自宅にあったドライバーやペンチなど、カラフルな工具をおもちゃのように並べて遊んだりしていましたね。小中学生時代は映画「アイアンマン」に夢中でした。主人公が自らスーツを設計したり、工作機器を使って改良したりするシーンに憧れて、漠然と将来はモノづくりに携わりたいと思うようになりました。

大学進学時の学科選びにあたり、ロボットやIoTなど学びたい分野を絞り切れずにいましたが父のアドバイスもあり、機械や電気、情報、メカトロニクスなど幅広い工学の基礎を身につけたいと考え、機械工学科を志望しました。湘南工科大学に決めたのは、所属学科の専門科目にプラスして興味のある分野の関連科目が学べる「学科横断型学修プログラム(現:横断型先端分野学修プログラム)」があることも理由の一つです。

学ぶほどに感じる楽しさと難しさ
ブレイクスルーの瞬間がたまらない

特に好きな授業は設計・製図の実習です。製図板を使った手書きの製図から始まり、パソコンの3次元CADソフトを用いて設計の基礎、応用までを段階的に修得していきます。最終的にはプロダクト全体のレイアウトから細部のパーツ設計に落とし込んでいくトップダウン設計という開発現場で実際に用いられる手法で課題に取り組み、一連の設計プロセスを体験的に学ぶことができました。

学びを重ねていくほどにモノづくりの楽しさだけでなく難しさ、大変さを身にしみて感じています。うまくいかなかったり、壁に直面したりして投げ出したくなるときもありますが、気がつくと何をしているときでも頭の片隅で考え続ける癖がついていました。ふとしたときに「こうすればいいんだ!」とブレイクスルーする瞬間があり、思い浮かんだアイデアを試さずにはいられない自分がいます。

宇宙エレベーター研究の試行錯誤で
身につけた“カタチ”にする力

湘南工科大学には少人数グループごとに担当の教員が付くCC(コミュニケーションサークル)制度があります。そこでお世話になった井上教授から宇宙エレベーター構想の話を伺って興味を抱くようになり、3年次後学期から研究に参加しています。これは地上と宇宙ステーション間をエレベーターでつなぎ、人や物資の輸送を合理化する技術で、実現すれば宇宙開発が大きく飛躍すると期待されています。

研究室では宇宙につながるテザー(ベルト)を昇降するクライマーの開発を進めており、私は主に軽量化や速度向上を目指した素材検討や配線の設計などを担当しています。現在は毎年参加している合同実験競技会に向けて、クライマーを組み上げて走行実験を行う最終段階です。理想を追い求めれば、まだまだ改良の余地は多く、時間はいくらあっても足りません。ですが、こうした経験を通じて目標から逆算して考えをまとめ上げて“カタチ”にすることの大切さを学び、強く意識することで少しずつその力が身についてきたという実感もあります。

社会に求められる複合的な技術と
高い“人間力”を備えたエンジニアに

今後は本学大学院へと進み、引き続き宇宙エレベーターの研究を行う予定です。これからは後輩への指導やアドバイスなども含めて、研究室全体をまとめ引っ張っていける存在になりたい。そのために技術だけでなく“人間力”も磨いていきたいです。

将来の目標はまだ具体的ではありませんが、研究を通じて宇宙に限らず、物流の無人化や自動化、災害対応型モビリティなど、人やモノの移動に役立つ技術にも関心を持つようになりました。物流業界における2024年問題や労働人口の減少など社会が抱える課題を解決できるようなエンジニアを目指して、これからも一つの分野に捉われず複合的な工学の学びを深めていきたいと思います

※学年・内容は取材時