研究室での
チームプロジェクトラーニング
をきっかけに
ゲームの世界に飛び込む
ゲームエンジニアとして活躍する
卒業生を直撃取材!!
さて、今回は、湘南工科大学で情報工学を学んでゲームエンジニアとして活躍している卒業生を紹介しよう。ソーシャルゲームは、私の住んでいる未来社会でも子どもから大人まで人気を誇っているコンテンツ。そんな業界のリアルな裏側について聞いてみた!
鈴木 留奈さん株式会社アカツキ勤務
工学部 コンピュータ応用学科 2018年3月卒業
屋久島おおぞら高等学校出身
高いクオリティが求められる
ソーシャルゲームの世界
シアン:鈴木さんが働いている株式会社アカツキはどのような会社ですか?
鈴木さん:「世界をエンターテインする。クリエイターと共振する。」をミッションとするゲームを軸としたIPプロデュースカンパニーです。モバイルゲームの開発・運営を中心にアニメなどとのメディアミックスを展開しています。
シアン:どのような作品を手掛けられている会社ですか?
鈴木さん:2022年にテレビアニメが放送された『TRIBE NINE(トライブナイン)』や『八月のシンデレラナイン』などは当社のオリジナル作品で、もしかしたら皆さんご存知かもしれませんね。
シアン:鈴木さんはゲームのエンジニアをされているとか…。
鈴木さん:はい。以前はソーシャルゲームのエンジニアを担当していました。当社ではアプリ側をつくるエンジニアのことを「クライアントエンジニア」と呼んでいますが、基本的にはゲームの画面やボタンなど、皆さんが実際に手にする部分の担当です。現在は、新規事業のエンジニアを担当していまして、こちらについてはまだリリース前なので、詳細はお話しできないのです。
シアン:それでは、以前のお話を中心に伺いますね。ソーシャルゲームって、それぞれのタイトルに大勢が関わっているイメージがあるのですが、実際はどうなんですか?
鈴木さん:プロジェクトの大きさやタイトルの新規開発または運用によって違いはありますが、結構多いかなと思います。大きなタイトルですとアニメーションカットを専門にしている人もいますし、アップデートを頻繁にできるようエンジニアもチームを分けています。
シアン:やはりアップデートが大切なんですね。
鈴木さん:当社のタイトルに限らず、一般的にソーシャルゲームはアップデートが重要ですね。キャラクターを増やしたり、新たな機能の搭載やイベントを発生させることでゲームを盛り上げていきます。ただ、運用における企画やキャラクターの追加などはプランナーの仕事で、エンジニアは機能開発を任されることが多いですね。
シアン:新しいゲームの開発期間はどれくらいかかるんですか?
鈴木さん:少し前までは、開発からリリースまで1〜2年ぐらいが中心でしたが、最近はユーザーの求めているものが高くなっていることもあって、業界全体として予算も期間もしっかりかけて開発する流れになっていますね。
シアン:ユーザーが求めているのは世界観とかですか?クオリティもどんどん高くなっていますよね!
鈴木さん:はい、また、最終的な見た目もそうです。例えば、3Dや映像がとても綺麗につくられているとか、キャラクターの表情の豊かさにこだわっているとか。力を入れているタイトルを見ると、大変な労力と金額がかかっていますね。
シアン:それだけ競争も激しくなっているということですか?
鈴木さん:そうだと思います。ソーシャルゲームの業界では、「当たる、当たらない」という言葉をよく使いますが、当たれば莫大な利益をもたらすものの、当たらなければ1年でタイトルがクローズすることもよくある世界です。
シアン:なるほど、シビアな世界なんですね…
ゲームを楽しんでもらう
それが一番のやりがい
シアン:鈴木さんは湘南工科大学に進学する前からゲームに興味があったんですか?
鈴木さん:自分が遊ぶ分には、ですね。中学生の頃からパソコンには触れていて、インターネットやプログラミングには興味がありましたが、この頃はゲームをつくりたいとかゲーム業界に進みたいとは全然思っていませんでした。湘南工科大学への進学は先輩の薦めで、何となく自分に合っていると感じたからです。
シアン:大学ではどんなことを研究されていたんですか?
鈴木さん:長澤教授の研究室、私たちは「ナガサワ研」と呼んでいましたが、そこに入りました。ナガサワ研では、3DCGのアプリケーションを用いて昔の建物をCGで再現したり、ゲームコンテンツをつくっていました。
シアン:昔の建物というと…確か、鎌倉時代に建立され、室町時代に焼失した永福寺をCGで復元するという…?
鈴木さん:そうです。私が大学に在籍していた頃にVRの機材が導入されて、よくゴーグルを使って遊んでいました(笑)。その後、ARのアプリケーションを使って復元した建物を見られるように発展したそうですね。
シアン:鈴木さんはどんなことを研究していたんですか?
鈴木さん:当時はXRのユーザーインターフェースに取り組んでいました。指にトラッキングモジュールを付けて仮想空間にあるタッチパネルを操作するという研究です。
シアン:トラッキングモジュール…むむむ…。それからゲーム業界に興味を持ったんですか?
鈴木さん:いえ、ゲームは2〜3年次に取り組んだチームプロジェクトラーニングがきっかけでした。ナガサワ研では、学生たちがグループを組んでゲームをつくっていたのですが、私たちの1作品目は、タワーディフェンスゲーム、いわゆる陣取り合戦のようなゲームをつくりましたね。その次にリアルタイムで通信対戦のできるシューティングゲームをつくりました。
シアン:それぞれのゲームの中で、鈴木さんが担当されたのは?
鈴木さん:タワーディフェンスでは3Dモデルを担当し、シューティングゲームではプログラミングを書いていました。それがきっかけでゲーム業界に興味を持ったのです。
シアン:チームで制作する難しさを感じたりはしませんでしたか?
鈴木さん:そうですね。学生でしたのでそれぞれのスキルが異なっていましたし、コミュニケーションにも苦労しました。ゲーム会社では、それぞれの担当を振り分ける旗振り役がいるのですが、当時はそんな人は誰もおらず手探りでやっていて、「どうしよう?!」と思うこともたくさんありましたね。今ではそれもいい思い出ですが。
シアン:それからゲーム業界を中心に就職活動を始めたんですか?
鈴木さん:いえ、就職活動の前に3年生の6〜7月にゲーム会社のインターンシップに参加しました。インターンシップは皆さんにもぜひ参加してほしいですね。自分が仕事をするイメージも湧きますし、あまり興味のない分野でも、参加してみたらとても面白かったという発見もありますので。
シアン:エンジニアとしての今後の目標を教えてください。
鈴木さん:私は純粋なエンジニア志望というよりも、どちらかというとモノづくりが好きで、プログラミング技術という手段をたまたま持っていたことでエンジニアになりました。ですので、これからもモノづくりの一環としてゲームやエンタメ作品に関わり続けることが目標です。観ている人や遊んでいる人に楽しんでもらえるのが一番うれしいですね。
シアン:将来、ゲーム業界に進みたいと考えている人もたくさんいるかと思いますが、鈴木さんからアドバイスはありますか?
鈴木さん:よく言われることですが、遊ぶ側とつくる側ではまるで違います。将来について急いで決めなくても、大学でさまざまな人や興味のあることに出会ってから進路を選択すればいいのではないでしょうか。その上で「やっぱりゲーム業界に行きたい」と思うのなら、ぜひ目指してほしいですね。
シアン:ありがとうございます!ソーシャルゲームのリアルな話とても面白かったです。(さあ、これで今日の取材もおしまい。早めに帰ってゲームの続きをしよっと!)
詳細情報は、大学公式Webサイトの入試情報ページをご確認ください。
※内容は取材時のものです。
(2022年9月22日更新)
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